F15C




カーチスF15Cフェニックスホーク


<要目>
全幅14.6m 全長14.5m 自重5.8トン 乗員1名 武装20ミリ機関砲×4(翼内×4) エンジン出力2,400hp+12kN 最大速度755km/h 航続距離1,500km


 1940年代後半、米国海軍は新時代の航空技術であるジェットエンジン搭載機の開発に乗り出していた。しかし欧州大戦において中立を保っていた米国では航空技術の開発に十分な予算を投入することが出来なかったために、自国産ジェットエンジンは信頼性が低く、燃料消費量は大きかった。そこで米海軍は折衷案としてジェットエンジンと従来型のピストンエンジンの複合動力機を計画していた。
 海軍の主力戦闘機であったF14Cに引き続きカーチス社で開発されたF15Cは、機首にレシプロエンジンを搭載し、主翼付け根の給気口から取り入れた空気を燃焼させるジェットエンジンを胴体中央部に搭載していた。ジェット排気は尾翼がつけられたブーム式胴体後部付け根に設けられており、二種類のエンジンを使用した際は時速750キロを超える最高速度を発揮していた。
 なお水平尾翼は当初ブーム中心軸に設置されていたのだが、ジェットエンジンから排気の影響を受けて操作が難しかったために試作機において垂直尾翼頂部に移設されていた。同時に飛行試験で横安定性の不足が指摘されたために追加されたドーサルフィンの面積も段階的に拡大されていったため試作機と正式量産機では形状に相応の変更があった。

 二種類のエンジンを搭載しながらも片方をレシプロエンジンとしたF15Cは純ジェットエンジン機と比べると航続距離は長く、攻撃隊に随伴する戦闘機としては十分なものとなっていた。
 ただし原理の異なるエンジンの混載は機体構造の複雑化を招いており、艦上における整備性は悪化していた。本来は純粋なジェットエンジン搭載機の保険として考えられていたF15Cであったが、実際には米国におけるジェットエンジン開発の遅れなどから純ジェットエンジン搭載機の開発は大きく遅れており、それどころかジェットエンジンの混載であったF15Cの就役も遅れて制式年度は1948年と遅れていた。
 もっとも、米海軍としては空母搭載戦闘機としてはジェットエンジン搭載機はこの時期F15Cしか無く、比較対象もなかったことから生産数は多かった。それどこか米空軍も初の純ジェットエンジン搭載機として半ば実験機として採用されたP-59よりも性能が良かったことから、F14Cキティーホークと同様に艦載機仕様を省いてF-83フェニックスホークとして採用していた。


 


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