樅型駆逐艦





<要目>
基準排水量 2,650t   全長 110.7m  全幅 14.2m  CODOG 2軸
速力 26.3ノット  乗員 175名

兵装
単装65口径8cm両用砲 1基
八連装対空誘導弾発射機 1基
三連装53cm魚雷発射管 2基
四連装対艦誘導弾発射機 2基
30mm多銃身機銃 2基
回転翼機 1機
同型艦 多数

 樅型は栃型駆逐艦の数あるバリエーションのうちもっとも艦影の変化したサブタイプである。栃型の輸出型は、兵装や電探などが各国に合わせてローカライズされたサブタイプが多数存在している。また兵装を減じる代わりに航続距離を伸ばした哨戒艦型などの原型艦とは任務そのものが異なる艦も建造された。それらの艦とは違って樅型の任務は駆逐艦本来のものといえる汎用打撃戦闘となる。
 その最大の特徴は、飛行甲板と格納庫を装備し、回転翼機の運用能力を付加したことである。飛行甲板の代わりに対潜噴進弾発射機は未装備で、対潜兵装は自衛用の短魚雷発射管のみとなっている。
 搭載可能な回転翼機は、格納庫のサイズから中型以下に限定されており、日本海軍の標準哨戒回転翼機である川崎−シコルスカヤ80式は発着艦は可能でも格納は出来ず、旧式で小型の65式が運用限界だった。
 このように80式やその改装型の大型回転翼機を標準搭載する大型汎用駆逐艦と比べるとその能力は格段に制限されていた。
 実際、原型である栃型同様に日本海軍では中途半端な性能であることは否めず、樅型が当初より輸出を念頭において設計された艦である事を伺わせている。

 なお日本海軍に在籍した樅型は一番艦でありネームシップである樅の一隻のみで他の同型艦はすべて輸出されている。
 樅は対潜哨戒機の運用試験などに使用されていたが、就役から数年後に格納庫を講堂に改造した上で、近海航行用の演習艦に改装されている。

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