コロラド級空母





<要目>
基準排水量 32,000t   全長 190m  全幅 30.2m  蒸気タービン発電・ターボ・エレクトリック 出力 26,800馬力(四軸)
最大速力 21.5ノット  乗員 1100名

兵装
連装55口径20.3cm砲 4基
単装25口径12.7cm高角砲 10基

搭載機 固定翼機50機

同型艦 メリーランド


 コロラド級空母は、米海軍が軍縮条約下で就役させた米海軍初の本格的航空母艦である。元々はテネシー級戦艦の主砲を14インチ砲から16インチ砲に拡大した準同型の戦艦として計画されていたのだが、軍縮条約の制限によって、同級艦は廃棄されるはずだった。
 しかし、軍縮条約の規定によって、建造中の戦艦の航空母艦への改装が許されたために、コロラド級のコロラド、メリーランドの二隻が戦艦から空母に改装されることとなった。
 この時、日本海軍は建造中の天城型巡洋戦艦を航空母艦へと改装しており、米海軍でも一時期レキシントン級巡洋戦艦を改装する案も検討されたのだが、最終的には、金剛型巡洋戦艦に対抗するためにレキシントン級は巡洋戦艦として就役させる必要があると判断され、コロラド級が空母として改装されることとなった。

 コロラド級最大の特徴は、英国海軍のフューリアスの改装後の姿に影響を受けたのか、下段飛行甲板と上部飛行甲板を持つ多段式空母として改装された点にある。
 下段飛行甲板は、二段に別れた格納庫の上段に直結しており、格納庫内の航空機を直接発艦させることが出来た。構造上、下段飛行甲板は発艦専用であり、さらに運用する航空機の発展にともなって、大型の攻撃機を発艦させることは不可能になっており、就役後は実質上は小型の戦闘機の発艦専用となっていた。
 また、戦闘機であっても発艦距離は新型に更新されるほど長くなっており、1930年代なかばには、他国に先駆けて水上機ではない、通常型航空機の発艦用にカタパルトが設けられていた。米国製の海軍用航空機が他国製のそれよりも必要以上に頑丈さが求められていたのには、カタパルト発進を前提としていたためでもあった。
 大型機の発艦、および着艦には上部の飛行甲板が使用されていたが、下段飛行甲板の装備によって艦の全長に対して短いため、着艦制動装置は常に最新鋭の強力なものが搭載されていた。
 それでも着艦事故は未遂も含めて多く、起倒式のネットワイヤーである滑走制止装置が飛行甲板最前部に搭載されていはいたが、他国航空母艦とは異なり、着艦時は飛行甲板をクリーンにしておく必要があり、露天繋止は通常運用時には不可能という問題があった。

 初期の改装空母らしく、コロラド級の兵装は強力なもので、当時の重巡洋艦にも匹敵する8インチ砲8門を備えていた。また8インチ砲は艦橋と煙突を挟んだ前後に搭載されており、左右舷への射撃が可能であった。
 コロラド級は、主力となる戦艦部隊への随伴を前提としており、近距離での砲雷撃戦に巻き込まれる可能性が高く見積もられていたため、単独でも敵巡洋艦と交戦できる程度の砲力が必要と判断されていたようである。
 この他には、対空用の高角砲が左右舷に各5基、計10門が搭載されていた。

 コロラド級は、前述のとおり戦艦部隊に随伴して索敵及び防空任務を行うのを前提としており、少数の索敵用の偵察爆撃機を除けば、戦闘機が本艦の搭載機の主力だった。
 また随伴する戦艦部隊に搭載される水上機の整備もコロラド級の任務とされた。戦艦などに搭載された水上機は、露天で繋止されるため消耗が激しく、本格的な整備も難しいことから、洋上での重点整備は本艦が実施することになっていた。
 コロラド級には、他艦の水上機を収容するために艦尾にクレーンが備えられており、またクレーンと直結した下部格納庫は主にこの水上機の整備用に用いられていた。

 就役後、戦艦部隊と行動を共にしていたコロラド級は、西海岸の太平洋艦隊と東海岸の大西洋艦隊に一隻ずつが配備されていた。主任務は戦艦戦隊の随伴だったが、実際には戦艦を原形としたコロラド級は速力が遅く、鈍足の戦艦戦隊にしか随伴できないというのが正解であったといえよう。
 戦艦戦隊の随伴任務を行っていたコロラド級だったが、軍縮条約の破棄後に建造が開始された高速の新鋭戦艦に同行するのは速力が全く足りなかった。そのため、新鋭戦艦には、同じく新鋭の高速空母が建造されることとなった。




 



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