スターリングラード級重巡洋艦





<要目>
基準排水量 18,550t   全長 249.1m  全幅 24.5m  蒸気タービン 出力 133,350馬力(4軸)
速力 32.1ノット 乗員 1700名

兵装
三連装52口径24cm砲 3基
連装38口径12.7cm高角砲 7基
四連装60口径40mm機関砲 10基
哨戒回転翼機 5機
小型潜水艇 2隻

同型艦 スターリングラード、レニングラード、オデッサ
 スターリングラード級重巡洋艦はソ連海軍がクロンシュタット級の後継として建造した大型水上戦闘艦である。中途半端な戦力にしかならない巡洋戦艦の建造を取りやめた米国はアラスカ級の後継として小型戦艦であるコネチカット級を建造したが、ソ連海軍の場合は事情が異なっていた。
 米国は太平洋戦争で実際に水上砲戦で対峙するまで、日本海軍の戦艦大和型の主砲を16インチ砲であると誤認していた。それ故に主砲口径では同等であるはずのコネチカット級でも、圧倒は出来ないまでも対抗は出来ると判断していた。
 しかしソ連海軍は実際の戦闘詳報から大和型の主砲を17インチから18インチと推測していた。このクラスの大型戦艦に対して、砲力の劣る小型戦艦では対抗することは難しいと判断したソ連海軍は数少ない戦艦級建造のリソースは全て純然たる戦艦であるソビエツキーソユーズ級に集中することとした。
 なお、ソ連海軍が何故大和級に関する所感を米国海軍に伝えなかったのかは今もなお不明であるが、おそらくソ連側としては米国も自分たちと同じように考えているのだろうと誤解していたと考えられる。

 いずれにせよソ連海軍はこれ以上の三万トン級戦闘艦を建造する意思はなかったが、日英同盟をはじめとする国際連盟側海軍の新鋭重巡洋艦に対抗する為に、超重巡洋艦級の艦艇が必要であるのも確かだった。それはクロンシュタット級のように野放図に巨大化する必要は無く、あくまでも重巡洋艦を圧倒できればよかったのである。そこで主砲は24cmという8インチ砲を上回るものの、戦艦クラスに対抗することを考え出さない程度の砲が選択された。
 また、ソ連海軍は第二次欧州大戦において戦没したキーロフ級の代替としても本級を企画していたという。さらにスターリングラード級は各方面艦隊の旗艦として運用されることも考えられていた。スターリングラード級が搭載する回転翼機は対水中哨戒機のみではなく、小型電探を搭載した早期警戒型なども予定されており、固有の兵器というよりもは旗艦の遠隔センサとしての役割を多く期待されていたらしい。
 しかしながらスターリングラード級が搭載する兵装のうちもっとも謎であったのは小型潜水艇の搭載である。搭載する小型潜水艇は日本海軍などが一時期装備していた機動性の高い襲撃目的のものだった。
 おそらくソ連海軍の想定では、洋上でのスターリングラード級から発進し、うちもらした主力艦を襲撃するのが任務であったが、実際は泊地での警備活動が主な任務となった。特に第二次欧州大戦後に黒海艦隊の仮想敵となったイタリア海軍が水中爆破部隊を充実させていたことから、予備分も含めて六隻の潜水艇が黒海艦隊旗艦となったオデッサに配備された。
 しかしながら通常の水上艦艇ならまだしも、潜水艇が潜水員を発見するのは困難を極めていた。実際、第三次世界大戦に参戦した黒海艦隊は、地中海での戦闘でイタリア海軍に敗北した後は、母港に逼塞していたが、トルコ独立派に支援されたイタリア海軍水中部隊によって少なからぬ被害を被ることとなった。その戦闘の際に潜水艇が活躍することは少なかった。

 数々の問題は抱えていたものの、スターリングラード級はソ連海軍にとって成功作と判断された。長く続いた一連の戦役を生き延びたスターリングラード、レニングラードの二隻は誘導弾搭載など改修を受けて長く艦隊旗艦として就役し続けた。






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