零式艦上戦闘機




零式艦上戦闘機11型、21型


零式艦上戦闘機22型


<要目>
全幅12m 全長9m 自重1.7トン 乗員1名 武装20ミリ機銃×2(翼内×2)、7.7ミリ機銃×2(機種固定機銃) エンジン出力940hp×1 最大速度510km/h 航続距離3,230km:(零式艦上戦闘機11型) 
全幅12m 全長9m 自重2.0トン 乗員1名 武装20ミリ機銃×2(翼内×2)、7.7ミリ機銃×2(機種固定機銃) エンジン出力1140hp×1 最大速度530km/h 航続距離3,030km:(零式艦上戦闘機22型) 


 零式艦上戦闘機は、長時間の艦隊防空任務を遂行するために開発された、日本海軍で初めて陸上機と同等の性能を持つとされた艦上戦闘機だった。
 また、同時に長大な航続距離を持つために、陸上基地にも配備され、海軍の主力長距離攻撃機である九六式、一式陸上攻撃機に随伴しての護衛任務も遂行することが出来た。
 長大な航続距離と格闘性能を持った艦上戦闘機として誕生したために、零式艦上戦闘機は、母艦航空隊、基地航空隊双方に配属されて日本海軍の主力戦闘機として活躍することが出来た。
 しかし、ほぼ同時期に開発されていた本来の長距離援護戦闘機である13試双発陸上戦闘機は、さほど性能に卓越した物が見られず、零式艦上戦闘機で代用できるとして、援護戦闘機としては不採用となった。

 零式艦上戦闘機で最初の生産型となったのは栄12型を搭載した11型で、これは艦上戦闘機として必要な主翼折りたたみ機構や着艦フック、無線帰投方位測定機などを廃した陸上戦闘機仕様で、初期生産機は、義勇飛行隊に配備され英国本土防衛戦に参加している。
 初の艦上戦闘機仕様として11型で省かれた母艦機用の装備を備えたのが21型である。11型と21型では母艦用装備を除いて差異はなく、相互運用性を加味して、制式採用後は、21型に生産型は統一されており、11型の生産数は極少なく、大半は英国本土の義勇航空隊や正式参戦後の遣英航空隊で消耗して残存機はほとんどなかった。
 制式採用後の零式艦上戦闘機21型は、日本海軍の主力戦闘機として広く配備されたほか、英国海軍でも自国製の艦載戦闘機の性能が芳しくないことから零式艦上戦闘機21型を空母搭載機として導入し、英国仕様の21型はマートレットと呼称されていた。

 21型の制式採用後に、エンジン換装を伴う改装を行ったのが零式艦上戦闘機22型である。搭載されたエンジンは21型の栄12型940馬力から、栄21型1140馬力と大きく出力が向上している。
 栄21型は、13試双発陸上戦闘機やその発展型の夜間戦闘機月光などにも搭載されたエンジンで、このエンジン改装は、零式艦上戦闘機の制式採用前から予定されていたものであった。
 当初はこのエンジン換装以外は、ほとんど手をつけることを予定していなかったが、義勇航空隊での21型や英国仕様のマートレットでの戦訓から、零式艦上戦闘機21型は概ね速力や機銃威力などには問題が出なかったものの、長距離飛行を行うために極限まで軽量化された機体は、脆弱性が指摘されており、零式艦上戦闘機22型での改装では、エンジン換装の他に、機体構造の強化や防弾板の追加なども併せて行われた。
 ただし、この防護力増強のための工事はこの時点では応急的なもので、機体外観にはより全長の長い栄21型を収めるために延長されたカウリングを除いて、ほとんど変化はなかった。機体重量はエンジンの換装と防護力の向上によって増していたが、出力の向上はそれを補って余りあるもので最大速度はやや上昇していた。
 機体性能にはほとんど変化はないように思えたが、栄21型は2速の機械式過給器を備えており、1速の過給器を装備した12型と比べて高高度性能や加速性など余り表に出ない部分では向上が見られた。
 22型も英国海軍で採用され、マートレットUと呼称されたが、英国海軍での採用は日本海軍よりもやや遅れており、その時点では抜本的な機体構造の強化改良を含む、これ以後の本格的な発展型が予定されていたため、マートレットUとして生産、使用された機体は少なかった。

 


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