一式重爆撃機二型




一式重爆撃機二型


<要目>
全幅30.5m 全長24m 自重14.5トン 乗員10名 武装20ミリ連装機銃×1、20ミリ単装機銃×1、12.7ミリ連装機銃×2 エンジン出力1500hp×4 最大速度510km/h 航続距離4,000km

 日本陸軍に配備された一式重爆撃機は、審査を受けた原型を経たものの、当初の予定とは異なり、重爆撃機ではなく機銃や装甲を重装備した翼端援護機として開発された一型が初の制式採用機となった。
 そこで一型に続いて純粋な重爆撃機として開発されたのが一式重爆撃機二型である。
 だが、一式重爆撃機二型は、爆撃機として設計されたはずの原型機よりも、一型に近い構造をしており、防御機銃座の配置も一型のそれを踏襲していた。
 原型機同様の爆撃能力を持たせるため、機体構造は一型ほぼそのままのまま重装甲を保持しながら、より大出力のエンジンへの換装と防御機銃の簡略化によって爆弾搭載分の重量を捻出している。
 翼端援護機として編隊防御の要として、何よりも火力を優先させた一型の防御機銃は、大口径の20ミリ砲に統一されていた。
 その火力と長射程は極めて強力ではあったが、弾薬を含めた自重は大きかった。そのため二型では射界の広い上部及び、敵機に接近されやすい尾部機銃のみ20ミリ砲を搭載し、下部機銃座は前・後部共により軽量な12.7ミリ連装機銃に交換されている。
 この12.7ミリ機銃座は20ミリ砲のそれよりも軽量であるため、旋回速度も高かった。
 また旋回機銃座によって左右方向の射界はカバー出来ると判断されたため、ブリスター式の側面機銃座は重量軽減及び空気抵抗削減のために廃止されている。

 兵装関係の重量は軽減されているものの、爆弾搭載量を確保するため、エンジンはハ41からより大出力のハ109に換装されている。
 この大出力エンジンを搭載した重爆撃機に十分な航続距離を確保するため、従来同様の防弾装備の施された大容量の燃料タンクが胴体に装備されている他、主翼内にも燃料タンクが装備されている。この燃料タンクは内翼部は胴体のものと同様の金属製の剛構造のものだったが、外翼部には布とゴムの複合材で構成された軟構造の燃料タンクが細分化されて主翼構造材の隙間に押し込まれるように搭載されている。
 だが、この主翼外翼の柔構造の燃料タンクにも防弾機能は備えられてはいたが、被弾の可能性の高い主翼に増加燃料を搭載するのは搭乗員たちには不評であり、爆弾倉内に搭載するフェリー用の増槽と同じくカタログスペック上の巡航距離には記載されない特別装備扱いとなっていた。

 エンジン及び機銃座の換装以外に、一式重爆撃機二型は一型と比べて垂直尾翼取付前縁が伸ばされる形で尾翼形状に変更が加えられている。
 この垂直尾翼面積の増大は、上部機銃座を旋回した際に生じる乱流の影響を軽減するために実施されたのだが、後に急旋回時に方向舵が固定されてしまういわゆるラダーロック対策にも有効であったことが判明している。

 一式重爆撃機は、高い機体価格故に対独戦参戦前には生産数は限られていたが、本格的な爆撃機型である二型は参戦後の緊急軍事予算拡大の影響を受けて生産数が増大し、第二次欧州大戦中盤まで日本陸軍重爆撃機部隊の主力として活躍した。


 


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