一式短機関銃一型





<要目>
銃全長648mm 銃重量2950g 初速395m/s
装弾数30発(ボックスマガジン) 使用弾薬9ミリパラベラム

 一式短機関銃は日本軍が欧州大戦への本格的介入を決意すると同時に開発が始まった短機関銃である。

 第一次欧州大戦に参戦した帝国陸軍は塹壕戦において無類の強さをみせたが、同時に簡易な短機関銃が塹壕戦においては有効であるという戦訓を得ていた。
 そこで近い将来に欧州で行われるであろう陸戦は、再び塹壕戦になると考えた帝国陸軍は、中央工業に短機関銃の開発を命じた。
 当初、中央工業では当時試作されていた南部式短機関銃を原型として開発を進めていたが、急遽欧州での入手が容易である9ミリパラベラムを使用弾薬とすることが決定された。
 最終的には作動方式はオープンボルト式ストレートブローバック、セミ・フルオート切り替え式となった。
 制式採用された一式短機関銃は、開発計画当初の想定とは異なり、第二次欧洲大戦が運動戦が主となったために、一般の歩兵部隊へは一部士官、下士官への配備に留まったが、落下傘降下部隊や海軍特務陸戦隊や陸軍機動旅団等の特殊部隊の他、戦車兵や砲兵の自衛火器としても配備された。



一式短機関銃二型





<要目>
銃全長648mm 銃重量2830g 初速395m/s
装弾数30発(ボックスマガジン) 使用弾薬9ミリパラベラム


 比較的量産性を考慮して設計された一式短機関銃ではあったが、欧州戦線での戦況がその認識を一変させた。
 ダンケルク撤退、それに続く英国本土防空戦である。
 この一連の戦闘によって著しく小火器が不足した英国は、日本にも兵器の供与、輸出を打診してきた。
 この要請にこたえるため、一式短機関銃はさらに量産コストを下げなければならなくなった。これにより開発されたのがフルオートオンリーとなった一式短機関銃二型である。
 一型からの変更点は、加工の手間を省く為にプレス製作部品の割合が大幅に向上していること、照門が複雑な調整式から固定式になっていること、伸縮式だった銃床が固定式になるなど多岐にわたる。
 これらは量産性を高める為の変更であったが、銃床と干渉するコッキングレバーが銃後部から上部に移行したことや、防寒手袋をしていても操作しやすいようにトリガーガードを大型化したこと、マズルにコンペンセイターが空けられるなどの改良点も見受けられ、必ずしも粗悪銃ではないことをうかがわせる。
 事実、英国軍兵士達は、量産性を高める為に問題が多発していた自国製のステン短機関銃よりも一式短機関銃二型の支給を望んだといわれている。



一式短機関銃三型





<要目>
銃全長648mm 銃重量2930g 初速400m/s
装弾数30発(ボックスマガジン) 使用弾薬9ミリパラベラム


 第二次欧州大戦後はフルオート射撃が可能な突撃銃の普及によって軍用の短機関銃は廃れるかに見えた。しかし戦車兵や後方支援部隊は大型の突撃銃を携帯することが困難である為、それらの部隊の自衛用火器として短機関銃は必要とされていた。
 一式短機関銃三型はそういった需要を満たす為に開発された。
 大まかな設計思想としては、戦時急造型である二型で取り入られた新技術を、高級モデルともいえる一型にフィードバックするというものであった。
 また車内での取り回しを容易にするためにストックは今までの固定式や伸縮式から折りたたみ式へと変更されている。
 比較的温暖な欧州での使用を前提としていた二型と違って、シベリアなどの極寒地帯での運用も想定された為に素手で扱っても支障が無いようにグリップとハンドガードは木製に切り替わっている。





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