第三話:満州戦車戦






    1945年 8月10日 新京

 昨日の朝方に始まったソ連極東方面軍の侵攻以来、関東軍司令部は急に忙しくなっていた。前線からの通信は時間が過ぎるにつれて増大していた。だがいまのところ極東方面軍と対峙している第一方面軍は戦線を維持していた。これもソ連軍侵攻を想定して陣地での防衛に専念しているからだ。
 ソ連軍侵攻の予兆をつかんだのはシベリア全域に間諜を浸透させていた特務機関だった。大都市などに出稼ぎに出ている貧農中国人に扮した特務機関員たちが国境地帯に移動する部隊を発見したのだ。
 特務機関から情報を受け取った関東軍は極秘に夜間偵察を実行した。そして彼ら自身の手で部隊移動を確認した関東軍は隷下の方面軍、直轄部隊に戦闘準備を下命した。今まで最後の訓練をおこなってきた師団はあらかじめ縦深を深くとられた陣地へと入っていた。
 国境線付近に新たに建設された陣地は後方にいくつもの予備陣地をもうけた本格的なものだった。また丘や渓谷などの地形を巧みに利用している。陣地建設は在満州の工兵や一般部隊をも動員した大工事だった。それがいま役に立っていた。
 だが国境陣地での防戦が限界に達するのは時間の問題だった。多数の機甲化部隊を有する極東方面軍に対して第一方面軍のほとんどの師団は旧式装備を抱える新設師団だった。戦車部隊も戦車第五師団と独立第2、3重戦車大隊が方面軍直轄戦力として配置されているだけだった。一式中戦車を装備した新設の独立戦車大隊は第一方面軍には配置されていなかった。独立戦車大隊はすべて第四方面軍に配置されていた。

 関東軍司令部は今日になって第一方面軍から送られてきた後退許可をめぐって参謀たちによって激論が繰り広げられていた。
 第一方面軍の後退許可は国境地帯での防御をあきらめ後方陣地への後退を求めるものだった。すでに最前線の陣地は危険になっているらしい。侵攻時における猛烈な準備砲撃と昨日から断続的に繰り返されている襲撃によって戦線は崩壊寸前だというのだ。
 だがここで後方陣地に移ればしばらくの間時間は稼げる。最前線の陣地は準備砲撃によって地雷原などの防御施設がほとんど無力化されてしまったが、いままで安全だった後方陣地の防御施設は全て無事だったからだ。
 しかし司令部参謀の決して少なくない数が後退を認めようとしなかった。
「現在我が軍はソ極東方面軍に対して善戦しております。このような局面で後退すれば士気の低下にもつながりかねません」
「そのとおり、それに皇軍が寸土といえどもソ連軍に渡すことなど出来るはずもありますまい」
 軍事というよりも宗教のようなことを言う参謀にあきれながらも秋元中佐は注意深く言葉を選びながらいった。
「だが、もし前方陣地でソ連部隊を支えきれなくなったらどうするのだ。第一方面軍からの情報によれば一部の陣地は崩壊寸前まで圧力を受けているらしい。ここで一箇所でも陣地が崩れてしまえばそこから堤防が圧壊するようにして戦線は崩壊するぞ」
 精神論をわめいていた参謀は凄まじい形相で秋元中佐をにらみつけると吐き捨てるようにしていった。
「兵站参謀は皇軍が敗北するとでも考えておるのですか。言っておきますが我が関東軍はろくな装備も無いまま南方で玉砕した部隊とは違います。十分な対戦車兵器も有しているし、何よりも皇軍の精神はソ連軍の戦車など相手にしないでしょう」
 秋元中佐は思わず瀬島中佐と顔を見合わせていた。目線で会話する。この参謀は精神病院に送り込むべきでは無いのか。さすがに他の参謀たちの間にも白けた雰囲気がただよった。しばらくして一人の参謀が咳払いして言った。
「私は兵站参謀の言うことも納得できると思う。だが不用意な後退が指揮の崩壊を招きかねないことも事実だ。だからこうしてはどうだろう。現在第一方面軍直轄戦力はほとんど戦闘に参加していない。ここで三個師団と戦車一個師団を戦線に投入すればかなり補強できるのではないか。それでも足りなければ安全な奉天と新京に布陣する第三方面軍から兵力を抽出しても良いのではないか」
 一見非の打ち所が無いような意見に秋元中佐は反論を躊躇した。だが秋元中佐が何か言う前に部屋の扉が荒々しく開けられた。参謀たちが慌てて扉に振り返ると、今朝から姿が見え無かった辻大佐が開け放った扉もそのままに早足で入ってくるところだった。
「意見はまとまったか」
 まるでいままでここにいたかのような辻大佐の言葉に誰もが息を飲まれていた。周囲よりもいち早く元に戻った瀬島中佐が今までの状況を説明した。すると辻参謀は満州の地図を見ながら不機嫌そうな声で言った。
「第一方面軍の予備戦力はまだ動かさん方がいい。ソ連軍の機動力に優れた戦車部隊は陣地の隙間をぬうようにして後方に浸透してくるだろう。その部隊をほうっておくといつの間にか後方から包囲されかねんぞ。戦車師団はその時に火消し役として使用すべきだ。それに第三方面軍は関東軍にとって貴重な予備戦力だぞ、使い所は慎重に決定すべきだ」
 不満そうな参謀が何か言うよりも早く辻大佐は参謀たちをにらみつけながら言った。
「まだソ連軍が侵攻してから一日しか経っておらんが状況は流動的だ。予備兵力の投入は状況を見極めてからだ。それでよろしいですな」
 辻参謀は最後にいままで議論を黙って聞いていた関東軍総司令官の岡本大将にいった。岡本大将は重々しくうなずいた。それをみて参謀たちの何人かが一斉に不満の声を上げた。だが開け放たれていた扉から伝令が駆け込んできたことで室内の動きが止まった。
「第四方面軍から通信、我が正面にソ連軍機甲部隊が襲来、敵戦力は戦車軍を含む大部隊とのことです」  それは第一方面軍が構築しつつある東部戦線のはるか後方に新たに西部戦線が発生した瞬間だった。


    1945年 8月12日 ハルビン郊外

 大急ぎで作られた戦車壕は急造の割には頑丈に出来ていた。ハルビンから数十キロ西側に配置されている戦車第三師団と独立第四、第五重戦車大隊の戦車壕はすべて戦車第三師団の工兵部隊が掘削したものだった。
 戦車第三師団の工兵部隊には、戦車連隊の配備から外された九七式中戦車が配備されていた。その九七式は工兵車両に改造されたものだった。
 九七式力作車と呼称されているその改造車両からは短57ミリ砲が下ろされていた。57ミリ砲が搭載されていた空間には代わりに自衛用の重機関銃が搭載されている。
 砲塔には他に地雷原の爆砕をおこなう爆導索を投擲する為の迫撃砲が搭載されていた。車体の前方には車体幅よりも広い排土板が設置されていた。排土板はある程度上下に稼動するように作られていた。戦車一個師団と大隊二個分の戦車壕を掘削したのはこの排土板だった。
 いまも力作車は独立重戦車大隊が後退したときに使う予備陣地を掘削していた。その陣地は作戦に必要な間隔を開けられたうえでハルビンまで続いていた。戦車第三師団用の戦車壕はこの最前線のものだけだった。戦車第三師団はこの陣地から後退した後は機動運用されることになる。それは動きの鈍い重戦車しか配備されていない独立重戦車大隊には不可能な戦闘法だった。
 誰もこの線でソ連軍を抑えきれるとは考えていなかった。関東軍に出来ることはなけなしの機甲戦力を活用してソ連軍の進撃を遅滞させることだけだった。

 重戦車用に深く掘り下げられた戦車壕のなかに入っている四式重戦車の周囲を確認してから、新庄曹長は戦車長用の監視塔から四式の中に入った。狭苦しく薄暗い戦車内は緊張した雰囲気がただよっていた。だが決して萎縮したわけではない、みなこの日の為に訓練を重ねてきたのだから当然だった。
 四式重戦車の砲塔は外から見れば巨大だったが、中は105ミリ砲の大きな砲尾のせいで足の踏み場も無いほど狭かった。半自動装填装置のおかげで装填手の仕事は楽になっているが、巨大な105ミリ砲弾を狭い砲塔内で装填するのは容易ではなかった。
 新庄曹長は新米の装填手に声をかけた。装填手の高町一等兵は戦車学校での教育を終えて独立第四重戦車大隊に配置されたばかりだった。着任から曹長と砲手が付きっ切りで装填訓練を繰り返させたから装填動作に不安は無かったが、装填手以外の仕事はまったく出来ない戦車兵としては半人前だった。
「どうだ高町、装填手の仕事には慣れたか」
「自分ではそう思いますけど相川伍長はどんなに早く装填しても遅いって言うんです」
「馬鹿野郎。貴様、そんな愚痴を曹長殿の前で言う奴があるか」
 わざと大げさに砲手が言うと高町一等兵はおろおろとし出した。
「あの、申し訳ありません曹長殿」
 高町一等兵は心底からすまなそうにいった。それで新庄曹長は笑い出した。顔は見えないが操縦手も笑っているようだった。一人だけきょとんとした眼をしている高町一等兵の背を新庄曹長はやや強めに叩いた。
「まぁ、そう気を揉んでも仕方あるまい。なぁに、貴様の装填が多少遅かったところで相川伍長が初弾から命中させるさ。なにせ人の仕事にケチを付けられるくらい立派な仕事をしているらしいからな」
 そこへ今まで黙っていた操縦手が笑いながらいった。
「まったくだ。そこまで自信があるようだから相川伍長は一発外したら俺たち全員に一杯おごってくれよ」
「何でそんな話になるんだよ」
 新庄曹長は高町一等兵の顔に笑みが浮かんだのを横目で確認してから砲手の頭を小突いていった。
「俺たちに奢るのが嫌だったら一発も外すなよ。敵の戦車が来る方向は分かっておるんだからな」
 砲手が返事を返すのを聞きながら新庄曹長は監視塔から半身を乗り出した。さっきから気になる音が西方から聞こえてきた。
 新庄曹長の四式重戦車はチチハルからハルビンに向かう街道を狙撃できる地点に配備されていた。この辺りでは街道を外れれば戦車が機動できる場所は意外なほど少なかった。だから敵戦車も街道を伝ってくるはずだった。
 戦車第三師団はここからでは見えないが両翼に展開しているはずだった。三式改の主砲は四式重戦車ほど強力ではないからだ。
 第44方面軍に所属する師団は二日前のザバイカル方面軍の侵攻以来後退を続けていた。国境近くの陣地では寡兵の第44方面軍の戦力では支えきれないと判断されたからだ。国境から避難民を掩護しつつ遅滞行動を続けた師団の戦力はがた落ちしていた。
 だが師団の偵察隊や独立戦車大隊の報告からザバイカル方面軍の前方に立っているのは第六親衛戦車軍だと判明していた。第六親衛戦車軍は最新鋭のスターリン重戦車を配備された強力な戦車部隊だった。独ソ戦で重装甲のパンターやティーガーを撃破していったためにアニマルキラーと恐れられたスターリン重戦車に対抗するのは三式中戦車改にはつらい仕事だった。
 そこで第44方面軍は第六親衛戦車軍の衝撃力を二個重戦車大隊で食い止めている間に側面から戦車第三師団で叩こうとしているのだった。

 新庄曹長が監視塔から身を乗り出すと街道上を一式中戦車の群れが走り抜けるのが見えた。一式中戦車はどの車両も砲塔を後ろに向けて車体の上に歩兵を鈴なりに乗せていた。ほとんどの戦車は塗装がはげ、また装備品が落脱しているものもあった。
 おそらく数ヶ月前に新たに編成された独立戦車大隊のものだろう。そう判断すると新庄曹長は一式中戦車と一緒に後退してきたのであろう歩兵に声を上げた。
「露介は近いのか、あとどれくらいだ」
 声をかけられた歩兵は憔悴した顔を新庄曹長に向けた。
「来るぞ、露介はいっぱいくるぞ」
 それだけをいうとその兵は目線を下げると黙々と街道を歩き続けた。新庄曹長はしばらく呆気に取られていたが、上空から聞こえてくる異音に慌てて監視塔の中に入り込んだ。街道上にいた戦車と歩兵も街道からバラバラに退避しようとしていた。
 一式中戦車はあるものは後続車と衝突し、あるものは載せていた歩兵を振り落として轢断していった。そしてソ連軍の対地ロケットが炸裂した。至近距離で爆発すれば歩兵はもちろん一式中戦車でさえ撃破される恐れがあった。
 ロケット弾攻撃は短時間で終了した。そして街道の向こう側からソ連軍がやってきた。


    1945年 8月12日 ハルビン郊外

 ソ連軍機甲部隊の前方にいたのは予想通りにスターリンだった。後方にも数え切れないほどのT−34/85がいた。T−34は砲塔の後ろに歩兵を鈴なりに乗せていたが、先頭のスターリン戦車には誰一人として乗っていなかった。
 おそらくソ連軍はスターリン戦車をT−34の盾代わりにするつもりだろう。重装甲で大火力のスターリン戦車は破城槌として使用するのに最適だった。
 しかし偵察も無しに戦車を突っ込ませるのは無謀だ。新庄曹長はそう判断すると車体に掛かっている偽装網を確かめた。周囲では生き残った歩兵と一式中戦車改があわてて後退している。歩兵は負傷してうめいている戦友を担ぎ上げているものも多かった。彼らをなぎ払ったロケット攻撃は四式重戦車に掛かっていた偽装網にも損害を与えていた。
 だが遠距離なら気づかれることも無いだろう。そう考えると新庄曹長は監視塔から狙いをつけるスターリン戦車を物色しながら攻撃命令を待った。砲手は独自に攻撃対象を決定していた。というよりも初撃はあらかじめ定められた序列によって決定されていたから砲手は敵を視認した直後から照準を始めていた。
 敵戦車の行動にあわせながら砲手の操作によって巨大な四式重戦車の砲塔はゆっくりと旋回していった。四式重戦車は電動方式によって砲塔を旋回させていた。短75ミリ砲を搭載した三式中戦車以来戦車の砲塔は人力で回すようなものではなくなっていった。
 スターリン戦車との距離が1000を切ってから即座に攻撃命令は下された。大隊長からの直接命令と同時に新庄曹長は言った。
「砲手、撃て。装填手、別命あるまで徹甲弾装填」
 新庄曹長が言い終わる前に砲手は引き金を引いていた。周囲を圧する轟音と砲口から吹き上がるマズルフラッシュが発生した。四式重戦車の周囲にいた歩兵たちは何人かが圧力で倒れこんでいた。彼らは必死になって後退した。
 発砲と同時に車内にも硝煙が立ち込めた。すかさず新庄曹長が装備されている換気扇を最大で回した。それでようやく煙がはれる気配があった。それよりも早く装填手が徹甲弾を再装填していた。発砲にやや遅れて砲座が後退し空薬莢が排出される。薬莢は砲塔下部に設けられた薬莢受けに落とされた。薬莢受けは一杯になる前に車外に廃棄されることになっていた。
 再装填作業そのものは装填子が砲尾に次弾を押し込む前に砲弾を砲座の上に置くだけだ。再装填が終わると装填手は戦闘の喧騒に負けないように大声で装填終了を告げる。
 新庄曹長は装填手が再装填を終えて砲手が照準を定められるようになる前に次の標的を捜さなければならなかった。そこで曹長は発砲する前から監視塔の展望鏡を通して標的となったスターリン戦車を観察していた。発砲から一秒ほど遅れて徹甲弾が弾着した。
 初弾であるにもかかわらず105ミリ砲弾はスターリン戦車に命中していた。車体と比べると大きめなスターリンの砲塔基部に砲弾は命中していた。そして105ミリ砲は1000メートルでもスターリン戦車の装甲を貫いていた。
 着弾して二秒もたたないうちに戦車兵が慌ててハッチから飛び出した。それにやや遅れて開け放たれたハッチから爆炎が上がった。結局そのスターリン戦車から逃げ出せたソ連兵はいなかった。全員が爆発に巻き込まれて倒れていた。
 新庄曹長は擱座したその戦車を無視すると素早く次の標的を捜した。それはすぐに見つかった。スターリン戦車大隊が形作る縦隊の最端に位置する戦車だ。曹長が短く方位と距離を告げると砲塔が旋回する。
 そして再び四式重戦車は発砲した。今度は外れた。新庄曹長がそれを確認するのよりも早く砲手が再装填を命じた。曹長は引き続きその戦車を狙うようにした。だが再装填が終わる頃にはその必要はなくなっていた。別の四式が同じ目標を狙っていたらしい。新庄曹長が気がついたときにはそのスターリン戦車は破壊されていた。
 だが一方的な攻撃はそこまでだった。ソ連軍もこちらの存在に気がついたようだ。105ミリ砲の砲煙は凄まじいものだからそれも当然のことだった。停止したスターリン戦車はこちらに向けて122ミリ砲を発砲し始めた。
 あらかじめ照準を付けて戦車壕に入っている四式重戦車と街道上を今まで前進していたスターリン戦車の命中鮮度は段違いだった。だが数斉射からは命中弾も出始めた。
 この距離では四式重戦車も重装甲を貫かれる恐れがあった。新庄曹長の周りでは被弾車こそあれ擱座した車両は出ていなかったが、煙が戦車壕付近で上がっていることから撃破された戦車も出ているようだ。
 それを見たのかスターリン戦車は停止状態から再び前進を始めた。躍進射を繰り返しながら接近するつもりだろう。122ミリ砲がより威力を発揮し、また命中弾を得やすい近距離まで接近するつもりなのだ。後方で一時的に停止していたT−34もスターリンに合わせて前進しようとしていた。
 だがソ連軍の前進は程なくして頓挫した。街道脇に潜んでいた三式中戦車改が一斉に発砲を開始したのだ。
 三式改が装備する長75ミリ砲ではよほど接近しなければスターリン戦車を撃破出来ないとされていた。だが側面からならばスターリン戦車といえども撃破出来るようだった。しかもスターリン戦車はかなり長い車体を持っていた。三式改の側面攻撃は面白いように命中した。
 戦車第三師団の攻撃はスターリン戦車に対してだけではなかった。一式砲戦車や残存する一式中戦車部隊からの砲撃は後方のT−34に集中していた。さすがにT−34とは距離があるから短75砲や長57ミリ砲では撃破することは難しい。だがT−34の上に群がる歩兵たちは相次ぐ榴弾の着弾に身を引き裂かれていた。
 ソ連軍の攻勢は頓挫した。それからすぐに波が引くようにソ連軍は後退していった。戦場には擱座した戦車と兵士たちの死体だけが残された。
 だが新庄曹長たちはすぐに後退を命じられた。先ほどの攻撃でいくつかの壕が破壊され、戦車にも損害が出ていた。これから長く戦うつもりなら後方陣地に移動して体勢を立て直した方が効果的だった。
 再侵攻してくるであろうソ連軍を遅滞させる為に、対戦車地雷を埋設する工兵部隊を後にすると、新庄曹長たち重戦車大隊は損害車両を牽引しながら後退していった。



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